田舎のヒロインわくわくネットワーク

イルカのラボちゃん

 今年の2月半ばのことだ。
「イルカの絵を描いていただけませんか?」
三国にある越前松島水族館の館長さんがやってきた。

 話はこうだ。今からちょうど10年前のこと、三国の海に座礁して真っ二つに割れたロシアのタンカー・ナホトカ号の船主部分が漂着した。積んでいた重油があふれ出し、海はまっくろ。一面重油の海。このままでは海が死んでしまう!

 海女さんたちが、バケツとひしゃくで浜に押し寄せる重油を汲みはじめた。私たち家族も毎日毎日浜へ行って重油を掬った。油の膜が水族館のイルカのプールにも流れ込んだ。イルカを助けなくては!このとき生まれて間もない子供のイルカがいた。子イルカの移送は世界でも例がない。死んでしまうかも知れない大冒険の中で、イルカの移送が行われた。大勢のボランテアや、各地の水族館のスタッフの協力でイルカの命はたすかった。イルカの名前はラボ。あれから10年の月日が経った。ラボは元気に育って、今では水族館のイルカショウの花形になっている。

 このストーリーを絵本にするというのだ。
 10年前の冬の荒れた海。かじかむ手で黙々と重油を掬った。たくさんのボランテアが我が家にも寝泊りして重油救いや石ころ磨きに出かけていった。2度と海を汚さないように。ナホトカ重油事故を忘れないように、船主を残してモニュメントをと船首を残す会の動きもあったが、立ち消えになってしまった。

 人の心の記憶もいつか薄れてしまう。イルカのラボを通してメッセージを伝えることが出来たら!ボランテアで三国にきてくださった若者たちも10年経って、美しくなった三国の海をもう一度訪れることがあったら。子供たちと元のような美しい海と元気なイルカのラボを見に来てほしい!

 そんな、親から子へ読み聞かせ、語り伝える本が出来たらいいなと思った。

 時間があるとは水族館のイルカを見に行った。イルカショウも何度も見た。

 イルカの水の中の動きが難しくって、名古屋港のイルカの水族館へも見に行った。実際のイルカの姿と、お話のイルカのデフォルメした姿。いったいどんなイルカに描けばいいのか・・・。あれから3ヶ月、その絵本がやっと出来た。

 思いはいっぱい詰まっているけれど、いかんせん、技術がない。まったく絵がへたくそだ!この下手な絵がいいんです。と館長さんはおっしゃったけれど、

 あまりにも下手さが自分の目に焼きつく。これが持ち味なら仕方がないが、まず、最初の一歩だから堪忍してもらおうっと!

 皆さん、どうぞこの絵本を買って読んでやってくださいね。

「イルカのラボちゃん」

1冊1365円<消費税込み>出版社は福井新聞社です。よろしく!


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