田舎のヒロインわくわくネットワーク

農環研との交流会

農業環境技術研究所発表内容
 2007年12月農業環境技術研究所の研究者の方々と現場の生産者の女性たちとの交流会で、発表していただいた内容です。日常の中の疑問が新しい発見や、思いがけない経営の窓口を開いてくれます。働きながら考える。考えながら行動する。日常を見直すためにも働きながら学び続けましょう。

(1)稲作におけるスクミリンゴ貝の影響について  長崎県 西村ふじ子
  
 私の住んでいる長崎県諫早市小野島町は県の中央部に位置し、水田農業の占める割合が高い。主要作物は、みかん、イチゴ、茶、バレイショ、肉用牛などで、直売所も多く、消費者との交流も盛んな地域です。私は干拓に隣接する諫早平野で、米3ヘクタール、麦10ヘクタール、花苗中心の専業農家で、グループで農村食堂をやっています。
全国的に有名になった諫早湾干拓も完成し、営農実証試験も進み、入植者も決まり、来年4月より営農が展開される予定です。干拓の完成によって、諫早平野も排水などの条件も良くなり、大豆、玉ねぎ、アスパラ、ミニトマト、イチゴなど施設園芸も増えつつあります。我が家のパートナーは無人ヘリコプターのオペレーターや農作業受託を行っています。
本日話題提供するのは、スクミリンゴ貝・通称ジャンボタニシについてです。
 ジャンボタニシは25年くらい前に、先進的な農家が食用として養殖を始めました。養殖者に充分な認識がなく、最初は川に増殖し、田んぼに入り、稲の食外が出始め大問題となりました。川にスッポンを放し、スッポンに食べてもらうという作戦を行いましたが問題はなかなか解決しません。一時は少なくなったのですが最近又被害が大きくなり、問題になっています。私たちの地域は一枚の田んぼが50a,80aと広く、代掻きが充分でないと、水を張っても深いところにジャンボタニシが集まり被害が出ます。水を落とすと、雑草が生え大変で悪循環となり、若苗で植えるとますます被害が大きく、淡水直播などの、新しい規模拡大のやり方も難しい現状です。今後、ウリミバエのような撲滅作戦は出来ないものでしょうか。


(2)SOS動物園の動物の餌が危ない~温暖化と動物~  京都府 西窪あけみ

  私は動物園の動物の餌・粗飼料を作っています。人間とは異なって動物園の動物は、食べものを選ぶことは出来ません。
そのために、動物の餌は吟味して作っています。ところが最近、温暖化によると思われる牧草の被害が出ています。牧草ばかりではなく、竹と樹枝葉にも変化が出ています。
人間の食べものに対する研究はいろいろな方面から進められているが、動物の食べ物に関しては充分とはいえません。動物の餌から現在のいろいろな問題が見えてきます。
動物の食べもののあり方や、生態系のあり方などを含めた環境の問題など、どのような研究がなされているのか、取り組みについてうかがいたいと思います。


(3)慈姑(くわい)の赤枯れ病とアブラムシ対策  埼玉県 小林優子 

 私はくわいを栽培しています。この時期から年末にかけて、くわいを掘り、出荷の真っ最中。くわいは田んぼに栽培されるが、病害虫の防除に苦慮しています。その理由は、先般の農薬取締り法の改正により、使用していた農薬が使用できなくなったことが原因です。
 一つは赤枯れ病。葉の色が赤く紅葉し、収穫が激減する。病原菌はフザリウム菌だとされています。以前はトップジン水和剤の種子消毒でかなり予防できましたが、現在はベンレートT水和剤による種子消毒か、罹病株を圃場から捨てる、または連作していない新しい圃場で栽培をするかですが、いずれも効果がありません。
 もう一つはアブラムシ。
現在登録のある農薬はDDVP乳剤とスタークル粒剤。それに、アドマイアーフロアブル。DDVP乳剤はその効果が疑わしく、スタークル剤は浮き草があるとその効力が発揮できません。アドマイアーフロアブルは非常に効果があり、一番信頼しているが、抵抗性が心配です。
農薬の基本的な使い方と、対策を知りたいと思います。


(4)今、有機農業から見えるもの  東京都 風の畑:安田弥生

 有機農業で野菜が本当に出来るの?農家でもない私が一人で農業を始めたのは7年前。自分でやってみなければわからないと、季節のいろいろな野菜を宅配で販売することを考えていたため、多品目の野菜を少しづつ作ることにしました。現在、神奈川県相模原市城山町の6箇所80aの畑で、「風の畑」と名づけ、仲間と一緒に無農薬・無化学肥料の有機農業で野菜や米を作っています。
最近、考えることは草の意味です。草が生えているところのほうが作物に害虫が集中しないし、厚くて雨が降らない日が続いても、土の成分が保たれます。草があるところを掘ってみると、土がホクホクでミミズもたくさんいていい土になっていることがわかります。又、前年の葉っぱの取り残しから種が落ち、自然に出てくる葉っぱがあります。そのほうが自分で蒔いた葉っぱより虫が付かないのです。味もとてもおいしくて驚いてしまいます。普段蒔く種も、自分で採らなければいけないと思うようになりました。種子消毒や遺伝子組み換えの疑いのないことはもちろん、私の畑の環境の中でよく育つ種を選んで自分で採るのが一番です。自然には人間の目には見えない張り巡らされた網のようなものがあり、草や虫たちはその存在を感じているような気がします。草や虫たちは自然の中で生きていく上で「どこまでやったらやりすぎだ」ということを全部感じて、バランスをとって生きているのかも知れません。何でも自分で管理できると思いがちな人間はバランスがわからなくなっているのかもしれません。ここ数年、ちょっとおかしいなと感じることがあります。例えば8月の猛暑。昼間に畑にいると、体がおかしくなってしまいそうだったので、援農の仲間が来ても日中は皆で避難していました。又、雨が降らなかったことも問題でした。虫の出方や種類も少しづつ変わっているようです。九州出身の母は、畑に最近特に多い蚊の中に、昔、九州で見た蚊が混ざっているといっています。
又、九州でしか見なかったシジミ蝶を見るようになったとも言います。冬場もアオムシが普通に越冬していますし、全体的な虫の量も増えているようです。私の畑にいると、そんなことが目に付きます。
いま、食の安全性が問題になっていますが、安全なものが食べものであって、わざわざ「安全」といわなければならなくなったことを、もう一度考えてみる必要があります。子どもたちが遊びながら土を食べても害がないような、誰もが疑問を持たずに安全と思えるものを作る農業がもっと広まってもいいかと思います。でも、有機農業の農業技術の普及は充分ではありません。今後、自然をうまく生かす有機農業での農業技術を追求する価値は大いにあると思います。今後、有機農業が有利になるような政策をしているドイツのような形になっていくのか、もしくはこのまま大規模農業を推進するような形になっていくのか知りたいところです。


(5)里山作りと子どもエコスクール/環境教育モデル構築と普及活動  福井県

 福井県坂井市三国町での自然体験活動について報告し、その活動の中で環境に関する大きな疑問が出ていますので発表させていただきます。
まず、「三国湊こどもエコスクールでの三国での自然体験活動」
海の体験、里山体験を通して子どもたちに食の大切さについて体験的に学んでもらう。
1…海の体験では、昔の伝馬船つくりと漕ぎ体験。漁師さんと一緒に釣りの体験。地元にある水族館で、魚たちと夜を過ごす、夜の水族館宿泊体験。
2…里山体験 植樹体験
3…食育 三国の海から海水を汲んできて塩作り体験、郷土料理体験等

次に、三国での里山作り活動「三国湊環境教育モデルの構築と普及活動について」
1…ナホトカ号重油事故の振り返り調査
2…三国港の自然と歴史 <山、里、川、海のつながり>
3…今後の活動の展開案 <協議会の発掘>

環境活動の中からの疑問
 三国の里山つくり活動をしていますが、そのなかで一番大きな問題は日本海沿岸の松林に、赤くなって松の木がたくさん枯れていることです景観も悪く、風が吹いて倒木すると危険です。
海岸沿いの松林のマツクイ虫の被害に対して伐採してしまうほうがいいのか?薬を注入するほうがいいのか?伐採してしまうほうがいいのであれば、その後ににどのような木を植えていくのが良いのでしょうか?そのほかにもっといい方法があるのでしょうか?


(6)今、牛の寿命が短くなっている  茨城県 外ノ内登美

 我が家は祖父の代から酪農を始めた専業農家です。乳用牛180頭、飼料畑13ha,年間産乳量1000トンになります。
 酪農は自然循環型農業の中核として農地を有効に活用し、糞尿は堆肥として畑に返し、牛の飼料となる草を造る。そんな絶妙な環境にやさしい取り組みで牛と人と草が巧みに融和し、地域を活性化させているという誇りを私たちは持っています。
両親の時代は自分たちの畑で牧草やトウモロコシを作り、乾草やサイレージにし、飼料自給率の高い経営でした。しかし、多頭化が進み、乳質基準・<乳脂率3.5%>の設定、高泌乳牛へと、なっていることから、多くの牧草や穀物を外国から輸入する飼料形態へと変わってきました。
輸入粗飼料や配合飼料の原因となるトウモロコシ子実の価格は、異常気象、安全性、為替相場により安定していません。アメリカで燃料用のエタノールとしての需要が高まり価格高騰の現在です。中国・インドが経済発展してゆけばさらに世界の穀物の流れは変化してゆくでしょう。トウモロコシに変わる作物として、ソルゴーがあり、我が家でもソルゴーサイレージを作っていますが、トウモロコシに比べ嗜好性や消化性が悪いのが欠点です。
 そのため海外では、不消化の原因であるリグニン含量を少なくする遺伝子・bmr(ブラウンミッドリブ)を利用した品種開発が盛んと聞きます。遺伝子組み換えの飼料について牛への影響からミルクへの影響など安全性が気になるところです。
 また、牛の寿命がとても短くなっています。我が家では平均産次は4回、年齢にすると約6才。茨城県の平均産次は2・5回で、短い寿命です。とても高泌乳になっていて、我が家でも年間9800キロくらいになります。初産の牛でも信じないくらいたくさんのミルクを出します。
その反面繁殖も難しくなり、疾病も多くなっているのが現状です。分娩後の回復も難しくなり、受胎困難な牛も増えているようです。ホルモン剤を使って受精させるプログラムを試すこともありますが、なるべく牛の持っている力で妊娠させようと努力を続けています。が、牛自体の変化に技術が付いていかない。牛の改良の速度が速くなっていると感じるときがあります。
以前は母牛に似ていると感じていたのが、今は精液によってすぐ牛の体型や能力が変わっているように感じます。
 酪農家に限らず、農家は自然に近い環境の元で営みをしています。この自然環境は農業者のもの、消費者のものという区別なくすべてのヒトの共有財産です。
 その農業環境の荒廃を止める手立てはどこにあるのか。経済だけがヒトを幸せにしてくれるものではありません。
 牛の寿命が短くなっているのは私たちヒトが牛から警告を受け、考え方を変えていかなければいけないときなのかもしれません。牛から、幸せをもらっているのだから、牛に恩返しをしてあげたい。
我が家の牧場で、牛に負担をかけない自然なやり方で一日でも長く飼ってやりたいのです。


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