田舎のヒロインわくわくネットワーク

第6回 田舎のヒロインわくわくネットワーク全国集会2008レポート

生きることは食べること。
農林漁業の大切さを見失った今日、自然の暮らしを見直し、食べ物を作り、人が生きる基本の農林魚業のビジョンを、大地に生きる私たち自らが提案していこうと、今年、3月1日、2日に田舎のヒロインわくわくネットワーク全国集会を開催しました。題して「未来への道しるべ・農と食のグランドデザインをえがく・人が人として生きるために」

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状況は変わる・全国集会から3ヶ月
 農林漁業はもはやこれらに従事する人たちだけの問題ではありません。企業で働く人々や、これから社会に巣立っていく学生や若者たち、皆の問題ですから。参加できなかった方たちに全国集会の報告をと思いつつ、月日が飛ぶように過ぎ去って、あっという間に3ヶ月がすぎてしまいました。この3ヶ月の間に随分状況が変わりました。あの時、全国集会の実行委員をやってくださった学生さんたちは、それぞれ刺激をいっぱいうけて自分の道を歩き出しているようです。就職で長野へ、福井へ、新潟へと日本各地に転任された方や、あるいは夏休みを利用してイタリア、フランス、イギリス、アメリカ、中国、韓国などへ、リュックを担いで出かける人、3ヶ月経って様々な便りが飛び込んできます。学生たちも私たちの学生時代とずいぶん様変わりをしました。自分で働いて旅費をためて当たり前のように海外を見て歩き、留学する時代になっています。
 世界が確実に身近になって、国際情勢がまともに影響を及ぼします。ガソリンが値上がりし、餌のトウモロコシが手に入らず、肥料までも高騰し、今まで輸入に頼っていた食料が手に入らなくなるかもしれない食糧危機が眼前に迫って、農業への見直しがマスコミで声高に騒がれるようになりました。一過性でなければよいのですが・・・。

全国集会報告

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 今年の一月、二月は全国集会のパンフレットの案内作りと、呼びかけとNPO会員への発送に手間取りました。案内書は送ったものの、参加の申し込みが少なく、ヒロインの皆様の意識が変わったのか、家庭内の状況が許さなかったのか、田舎のヒロインの役割も終えたのか、いろいろ話し合いました。
ふたを開けてみたら、若い方々や学生さんたちの参加が多く、農業に興味を持ち自分の食べているものがどこでどんな風に作られているのか知りたい方々が多いことに新ためて気づかされました。NPOとして現場からの提言や活動が出来るのはこれからです。
 今、国の予算がなくなって、今までのように国会議員を使って中央へお願いし、国に予算をつけてもらって補助金を申請すれば下りると言う時代ではなくなりました。必要な活動はそれぞれの地域でNGOやNPOを作り、県や国のコンペに企画を出し、予算を取って、様々な提言と活動をする時代にはいりました。民間でも企画を出して、それが採用されれば、国や地域を動かしていける時代に入ったのです。成熟したヨーロッパの民主主義に基づく市民社会のあり方に一歩近づこうと言うことなのでしょうか。国や県や市町村にお願いして何かが変わるのではなく、必要なことは自分たちで、予算を組んで計画を立て、企画を提出して活動していく。そのためにNPOが必要とされているのです。
 町と田舎をつなぎ、生産者と消費者を結び、学生さんや若者、企業の方々をつなぐこと。都会の人たちの目の届かない中山間の村々に人が足を運んで交流し、水や自然の美しい環境や景観を維持するために出来ることをする。そのことによって国土を守っていく。農林業の現場で働く私たちにはこれからますます大きな役割があります。年を経た大人たちが積み重ねた経験と知恵、それに加えた若者たちの力と新しい知識が一緒になって、これからの時代への提言と扉を開くのです。
 全国集会の事務局を受け持ってくださった家の光の新しい担当者の皆様には、田舎のヒロインの全国集会のイメージを伝えるのに時間がかかってすっかりご迷惑をかけてしまいました。その間にも、早稲田、千葉大、京大の学生さんたちが時間を割いて集まってくれて、企画を練ってフォーラムの構成と参加依頼の準備に奔走しました。早稲田大学ボランテアセンターの好意で、パネラーと会場の参加者と全体が討論できるよう230人の小野梓記念講堂を貸し出していただけることになりました。2月後半に入って参加申し込みが増え、会場の小野記念講堂は満員になりました。
 司会を引き受けてくださったジャーナリストで農政研究所の岸康彦氏が、「学生と企業と生産者を結ぶ参加者全体のデスカッションなんて前代未聞の取り組み。こんな無茶なことはヒロインしかできないだろう。それにしても無謀だな。しかし、おもしろそうだ。」と言いながらフォーラム「未来への道しるべ・農と食のグランドデザインをえがく・人が人として生きるために」のコーデネートを引き受けてくださいました。

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企業の参加は…

 名もない田舎のヒロインの集まりに、はたして企業の方々がどれだけ参加してくださるだろうか?参加する企業の方々も、興味と不安?それとも好奇心? 食品に関わる企業150社へ出した農や食に関するアンケートに帰ってきた返答が10社。
 興味を持って当日参加くださった企業の方々が8社でした。お忙しい中、時間をさいてご出席くださいましてありがとうございました。
 パネラーとして参加していただいたのは、岐阜県中津川市でもやしやチコリを栽培しているサラダ・コスモ社長の中田智洋氏。越信子さんのご紹介で、越さんご夫婦と一緒に中津川のインター近くにあるチコリランドへ訪ねました。もやしやチコリを栽培しながら、岐阜県から南米へ移住された方々の応援をし、自ら南米でも農場を持ち、仲間と一緒に大豆を作って輸入し、岐阜で納豆を作って販売されています。世界的な広い視野で農業を考え、将来の食料不足に備えて、これからの日本の農業の一つのあり方を示しているように思えました。あれから半年、こんなにも早く家畜の飼料のトウモロコシや燃料のガソリンや肥料などが値上がりし、食料輸入の危機状態が近づいてくるとは思いもよりませんでした。これから、ブラジルは世界の食料基地になりつつあると見られています。
 もうお一人は山梨県で主に大麦や小麦を製粉し、加工されている「はくばく」の長澤重俊社長さん。麦とろの日を提唱している料理研究家の枝元なほみさんのご紹介でお会いしたことがありました。事務局の能登さんと一緒に、はくばくの製粉工場を訪ねました。長澤社長にお会いするまで、うかつにも福井県が日本最大の大麦の産地で、この大麦がはくばくに集まり、麦とろうどんや麦茶、家畜の餌の大麦やふすまとして出荷されていることを知りませんでした。自分たちの周りで生産されている国産の大麦や小麦の製粉とその行き先。農家である私たちは生産するだけでその先を知らないことがあまりにも多すぎたことに気づかされます。
 もうお一人は、現在ロッテアイスの社長になられた西宏平氏にお願いしました。雪印百株運動を通してお会いした雪印前社長さんです。ロッテスノー時のアイス開発のアドヴァイザーを依頼されたり、茨城のひばりネットワークの農産物を使ったアイス開発にご尽力いただいたり、ヒロインとの関わりがあったので、企業からの視点で農業のかかわりやあるべき姿などを話していただきたいと思いました。しかし、「フォーラムで語るだけでは何も変わりえない。実際に食品に関わる企業人にアタックして、国民全体で農業を考えていかなければ。企業のトップに呼びかけ、農業の応援団を作って日本農業の軌道修正をしていかなければ意味がない。そのために出来ることを協力しましょう。当日は皆さんと同じ目線で、現場の皆さんが何を考え、農業をどうしたいのか黙って聞いて勉強させていただきましょう。会場で参加者の一員として出席します」と言われました。
 後日、企業人の中でもっとも農業を大切に思い、実際に農業へのかかわりを持っていらっしゃるといわれる伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長をご紹介頂き、4月24日に西社長引率のもと、理事のメンバーで伊藤忠本社へ伺い、お会いしてお話を伺いました。
 今後、食品企業の方々や農業に心ある方がたに声をかけて、日本の農業や環境、食のあり方を話しあい、実際に農業と企業がどのようにかかわり、人々の交流が出来るのか、そのためにはどうすれば良いのか会議を持ち、呼びかけていったらどうかという話が出ました。
 収穫の作業も終わり、農作業が一段落したころ、多分秋以降になると思いますが実行委員会を立ち上げて国民的な会議への呼びかけ案を話し合うことを提案することになりました。興味があって、実行委員としてぜひ参加したい方は事務局へご連絡ください。会議への企画立案から一緒にやりましょう。様々な出会いが待っていると思います。


学生達3人のプレゼンテーション

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 フォーラムの前に問題提起として学生たち3人のプレゼンテーションを行いました。
トップバッターは京大の中村君俊介君「農村バイオマス」と題して問題提起を。温暖化でCO2削減のために私たちは何が出来るか?エネルギーを何に求めるのか?生ごみ、家畜の糞尿、野菜や果物の残渣など、なるほど田舎はバイオマスの宝庫です!
 2番バッターは早稲田大学の山中貴恵さん「大学から積み上げる食料自給率」大学内で学生たちが食料生産を行い、自給を行ったらどうなるか?
 3番目は早稲田大学の森田恵美さん「大人・農山村・漁村交流プロジェクト」
子どもたちに足りないものは大人たちに足りないもの。大人たちにこそ農山村、漁村と交流し、自然体験が必要で、そのためにはどのような交流プロジェクトをつくれば良いのか。どのような可能性があるのか?
 フォーラムを含めて、学生さんたちのプロジェクト発表などそれぞれユニークな発想で、大学のあり方や大学教育の意味も考えさせられるテーマでした。時間制限があり、討論内容の深まりがもう少しあったら、と残念な思いはたくさんありますが、日常に追われ、日々の作業に没頭する硬化した脳にみずみずしいエネルギーを送り込んでくれるプロジェクト発表で、大勢のヒロインのお母さん達に聞いてほしかったです。
 「夢語り」も夢奨励金を廃止し、学生たちの提案で、会場から「その夢、買います」と手を上げて、応援メッセージと応援の品をプレゼントするという随分ユニークなものになりました。

 今回出席できなかった方々には本当に残念です。
 若いエネルギーと柔軟な発想、異業種の方々とつながることで新たな価値が見えました。今まで5回の全国集会を積み重ね、それを基に、新たに取り組んできた第6回目の全国集会の貴重なフォーラムの内容を記録におこし、冊子で再現しお伝えすることにしました。学生さんたちやカメラマンの松田宗一さんたちの協力でただいま、作成中です。そのうちに皆様のお手元に届くと思います。楽しみにお待ちください。


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